海坊主


「そうか・・・」


高校に着いた。


体育の授業をしていたクラスは、丁度あたしのいたクラス。



校長室に行ったあたしを待っていたのは、担任と校長。


昨日、学校に電話をしておいた。



「そうか、辞めるのか・・・」


「はい」


「早坂。考え直す気はないか?」



早坂・・・自分の名字を、久々に聞いた。

危く、忘れる所だった。



「はい。あたし、この町を出て行きます」


「お母さんは・・・」


「分かってます。これから、出かけます」



その後の作業は、すぐに終わった。


退学届けを出し、校舎を出た。



「早坂さん!」


あたしを呼び止めたクラスメート。

あたしは、名前は分からない。


「また、会える?」


「分かんない」



あたしには、それしか言えなかった。


その子は、泣いていた。



あたしは、その子を振り切り、お母さんの待つ家に足を進めた。