「莉沙の携帯?」
「あ、すみません。
私の携帯…。」
ゆっくり立ち上がり、よたよたと携帯まで歩いた。
携帯のディスプレイを確認した後、思わず右手で口を押さえて「え」と息のような声が出る。
ここでは出られない。
「…百合さんすみません。
お先に失礼しても大丈夫ですか?」
「いいよいいよ。
明日からまた頑張って。」
手をふる百合さんを店内に残し、更衣室へと走る。
ママはもう更衣室の裏口から帰ったようで更衣室には誰もいなかった。
お酒のせいで息がきれるのが早い。
動悸の激しい胸に手を当て、呼吸を整えた後もう一度着信履歴を見る。
見間違いでは無く、そこにはやっぱり「誠也」という名前が表示されていた。
「誠也…」
声が聞きたい。
