「何で?!」
カラオケが大音量で流れているのにも関わらず、店内には私の声が響き全員がこちらを振り返る。
誠也以外は不思議そうな顔で私を見るが、誠也だけは笑いを堪えているように思えた。
「びっくりしすぎな。」
そう言いながら、誠也は勇さんの隣に腰を降ろした。
私の隣には峠さんが座っていたからだ。
すると、何かを悟ったかのように峠さんが素早く私の隣を空けて、誠也に私の隣に座るよう言う。
御礼の意味を込め、少し頭を下げながら迷う事なく私の隣に座った誠也。
一気に距離が縮まった。
顔を上げられない。
きっと私は誰が見てもわかる様な態度だっただろう。
