「おっ、莉沙ちゃん久しぶり。」
勇さんだった。
失礼だが、少し落胆している自分がいた。
「本当久しぶり。
こちらにどうぞ。」
二人をボックス席へ案内して、チーフからアイスとボトルを受け取った後、すぐに焼酎の水割りを作りながら会話を始める。
「お元気そうですね。」
「元気元気。」
既にどこかで呑んで来たのか、最近こんな事があった、こんな事があった、と色々な話しをしてくれる二人。
楽しくてずっと笑っていた。
だけど、一つだけ聞きたいのに聞けない事がある。
―「誠也は来ないんですか?」
こんな事失礼すぎて聞けない。
盛り上がっているし、空気を悪くするかもしれないからやめておこう。
そう諦め始めた時だった。
再びお客さんの来店を知らせるベルが店内に鳴り響く。
「いらっしゃいませ。」
後ろを振り向くと、そこに立っていたのは、ずっとずっと会いたかった人だった。
