「莉沙は仕事何時に出てる?」 「早番なら8時前。 誠也は?」 自然と勝手に「誠也」と、呼び捨てにしてしまい一人慌てるが、誠也は全く気にしていない様子。 「俺は今出勤中。」 「電車?」 「ううん、車。」 「運転中?」 「うん。」 「駄目じゃん!」 真面目な私の反応に誠也はまた笑う。 「真面目だな。」 「捕まらないようにね。」 「大丈夫、大丈夫。」 その後も誠也の職場に着くまでの10分間程話し、電話越しに「ピーッピーッ」という車庫入れしている音が微かに聞こえる。