なんでそれを、疑われなきゃいけないのよ。
一度、ずるいところを見られてしまっただけなのに。
猫かぶりが、少しだけヘマをしただけなのに。
いつも通りの笑顔で、心からの善意で、手を差し伸べただけなのに。
なんでよ、なんでなのよ。
だから嫌なのよ、まっくろなところを他人に見せるのは。
ちょっとでもずるいところを見られたら、あとの優しさなんて全部疑われてしまうんだもの。
心からまっしろになんて、なれないわ。
だからって、ぜんぶまっくろとは限らないじゃないの。
こういうことがあるから、私は猫を被るしかなくなるのよ。
私だって、できるなら猫なんて被りたくないわよ。
でも、それじゃ誰も受け入れてくれないから。
幸せになるために、まっしろのフリをしているのよ。
「………っ」
じわじわと、視界がゆがんでくる。
悔しい、悔しい。
あのとき邪魔をしなければ、柳田さんに私の気持ちが知られなければ、こんなことにはならなかった。
まっしろな『ミアちゃん』のまま、人助けできたのに。



