「ねえ、シロ」
彼は焼き上がったホットケーキを皿の上に乗せながら、「ん?」と優しい声で返事をする。
私はその後ろ姿を見つめながら、言った。
「…学校で、シロに話しかけてもいい?」
告白以外で、彼に近づける方法といったら、あとはこれしかないと思ったから。
お願いという形で、いつものように言おうと思ったら。
彼の手が、ピタリと止まった。
そして。
「………それは、嫌だ」
……えっ。
予想していなかった拒否の言葉に、私は目を見開いた。
い……『嫌だ』って……
言ったの?シロが?
私に?
「…し、シロ?心配しなくても、学校であなたを犬扱いするつもりはないわよ?」
「うん」
「呼び方だって、『姫宮さん』と『進藤くん』のままでいいの。私はちょっとだけ、今までより話したいってだけだから…」
「わかってる。……けど、ヤダ」
や、ヤダって………
私は呆然と、シロの背中を見つめる。
…シロが今まで、私の『お願い』を断ったことはなかった。



