『いちばん、ホットケーキが、好き』
言った、わよ。
確かに言った、けど。
少しだけ大きな声で、言ったけど。
でも。
「聞こえてたの…?」
「なんか困ってるみたいだったし、気になって聞いてた。ああいうの、嫌ならちゃんと断りなよ。美愛子、甘いものそんなに食えないだろ」
背中を向けたまま、そんなことを言う彼が、ちょっとずるく感じた。
胸の奥がキューっと締め付けられて、痛い。
…なによ、それ。
柳田さんと、話してたんじゃないの?
なんで私の声なんて、聞いてるの。
「…それで、なんで私がホットケーキ食べたいって、わかるのよ」
「わかるよ、そのくらい。俺に向けて言ってたの、間違いじゃないでしょ」
そうよ。
あなたに聞こえたらいいなって思いながら、言ったのよ。
でもだからって、本当に聞こえてるなんて思わないじゃない。
今私、嬉しすぎてどうにかなりそうよ?



