リビングの扉を開けて入ってきた彼に、私は目を見開いた。
…私が、彼の家に押しかけることはよくあるけど。
彼がこちらへ来るのは、あんまりないから。
「シロ、どうしたの」
「…台所、借りるよ」
「え?」
言うが早いか、シロは私の家のキッチンへ入っていく。
うちの台所に何があるとか、そういうのを全部把握している彼は、慣れた手つきでフライパンを持った。
「ホットケーキ、作りにきた」
……え?
私、何もお願いしてないはず。
シロはこちらへ振り返ることもせずに、そう言う。
何も言えずに戸惑う私に、彼は「食べたいんでしょ」と言った。
「今日の昼休み、言ってたじゃん。あれ、俺に向けて言ったんじゃないの?」
……うそ。



