「……シっ」
声を絞り出したとき、予鈴のチャイムが鳴り響いた。
一気に現実に引き戻されて、ハッとする。
…ここは、学校。
なにを、言おうとしていたの。
「……も、もどりましょ」
ふいっとシロから目を逸らして、階段を降りる。
振り返らずにそのまま歩き始めると、後ろから静かな足音が続いて聞こえた。
「………美愛子」
「なによ」
「なんか悩んでるんだったら、言いなよ」
振り返ると、シロはじっとこちらを見ていた。
…ええ、悩んでるわよ。
主にあなたのことで、悩んでいるわよ。
でも、あなたにそれを伝えても、どうしようもないの。
私みたいな子が、そんな簡単にあなたのお姫様になれるとは、思っていないわ。
…どちらかといえば脇役の、私みたいな子は。
つんとそっぽを向いて、私はシロから顔を逸らした。
そして、さっさと教室に向かって歩き出す。



