目を見開く私に、りさが前を見て何かに気づいたように「あ」と言う。
「……噂をすれば、ね」
りさの見ているほうに視線を移すと、シロと髪の長い女の子が仲良さそうに話しながら、こちらを向かってきているのが見えた。
…あの子?
りさが言っていたのは、あの子?
特別可愛いと言うわけではないけれど、明るい笑顔が愛らしい子。
シロも、心を許しているようなそんな笑顔を彼女に向けていて。
…幼馴染だもの。
彼の笑顔の種類くらい、わかるわ。
一度目が合うけれど、シロは私の言いつけ通り、何も言わずに横を通り過ぎて行く。
…やだわ。
どうしよう。
もやもやとした感情が、私の中に湧き上がってくる。
…今まで、シロに近づく女の子はたくさんいたけれど。
彼があんなに柔らかな表情を向ける子は、そうそういない。
シロったら、きっと彼女のことを相当気に入ってるんだわ。



