「…落ち込んでなんか、ないわ。わかってたことだもの」
ツンと鼻を高く上げて、唇を尖らせる。
…そーよ、わかってたことよ。
だから、私は猫を被るの。
みんなに愛される女の子を、演じるの。
私だって、ヒロインになりたいから。
…わがままな私は、お呼びでないのよ。
「…ふーん。落ち込んでないんだ。じゃあ、そんなミアちゃんに、ひとつお知らせ」
お知らせ?
眉根を寄せてりさを見上げると、彼女は小声で「真白のことよ」と言った。
シロのこと!?
なぁに、朗報かしら。
まぁ、朗報というより進展なら、昨日あったばかりだけれど!?
最近の私はついてるってことかしら!
目を輝かせていると、りさはにっこりと笑った。
「最近、真白と仲の良い女子が現れたってお知らせ」
瞬時に固まる私に、りさは滅多に見せない優しい笑みを浮かべる。
「今日の朝、下駄箱で女子達が話してるのを聞いたの。委員会で一緒になってから、何かとよく話してるんですって」
「……………」
全っ然朗報じゃないじゃない!
キッとりさを睨むと、「あたしは一度も良い知らせだなんて言ってないけど」としらっとした目を向けてきた。



