「…どうしてライバルの女の子はみんな、美少女で猫かぶってて、実は性格悪くて、結局振られちゃうのかな」
私の言葉に、りさは少しの間沈黙した。
そして、静かに口を開く。
「…で?読んでるあんたはそっちに感情移入しちゃって、ムカついてると」
む、と唇を尖らせる。
…だって、だって。
私は他の人に聞こえないよう小声で、世の少女漫画へ嘆いた。
「…だって、私を見てるみたいで悲しいんだもの…」
「…………」
「だから私って、こういうストーリーの漫画、無理なのよぉ。毎回毎回、私が振られてる気分になるわ」
そりゃ、ヒロインに意地悪しちゃうのは、いけないことだと思うわ。
けど、その子だって一生懸命なのよ。
好きな人をとられたくないって、その気持ちでいっぱいなのよ。
愛されたいから、猫かぶるんじゃない。
好きな人に好きだって思われたいから、可愛く演じるんじゃない。
もとから素直で可愛くいれたら、そりゃ苦労しないわよ。
だから自分にないものを持ってるヒロインが羨ましくて、仕方ないの。
そしてそれに惹かれるヒーローに、ああやっぱりそういう子が好きなのね、って、悲しくなっちゃうのよ。



