…って、思うけど。
ダメよね、うん、ダメだわ。
私に、男を押し倒す趣味はないのよ、残念ながら。
しぶしぶ退こうとして起き上がると、ぱしっと腕を掴まれた。
…え?
ぐ、と試しに力をこめてみるけれど、ぴくりとも動かない。
さすが、力、強いわね。
…じゃなく、て。
どきん、どきん、と心臓が音を立てる。
シロの目は、まっすぐ私を見ていた。
この態勢から動くな、って?
そりゃ、自分で言うのもあれだけど、私は軽いと思うわよ、体重的に。
小柄だと言われるくらいには、ね。
けど、なに、女の子に馬乗りになられて、なにが嬉しいのよ、シロ。
あなた、そんな趣味があったの?
「……なんか、失礼なこと考えてるでしょ」
「…べ、別に」
無意識に、軽蔑の眼差しを送ってしまったみたい。不覚。



