だから、俺とりさが美愛子無しで話すことなんか、美愛子のことくらいしかない。


つくづく、俺もりさも馬鹿だ。

普段から、嫌ってほど振り回されてるのに。


美愛子のためなら、なんでもやってやると思ってる。



だから今回、こうやってりさが俺のところに来たのも、当たり前といえば当たり前だ。

今度は他でもない、俺が美愛子を傷つけたんだから。


…りさは相手が俺でも、容赦はしないだろう。



「…………」


何も言わない俺を、りさはじっと見つめてくる。

まるで、俺の内側の感情を、探ろうとしているみたいに。


これは、りさの癖だ。

こうやって彼女は、人の真意を見抜こうとする。

だから俺も、りさに嘘はつけない。