目をぐるぐる回す私を見て、やっぱりシロは面白そうに笑う。
あああ、ええと、どうしてこんな展開になっちゃったのかしらね。
どうしてそんな、見たことのない笑みを浮かべているのかしら、シロ。
…少しだけ、意地悪なかんじで。
……知らないわよ、私、そんなの。
この十五年、あなただけを見てきたけど。
知らないのよ、私…!
とにかく今、冷静な判断ができないでいるから、危険だわ。
何か、余計なことを口走ってしまいそうなのよ!
私は一度大きく深呼吸をしたあと、もう一度シロを見つめた。
そして、これ以上ないほどえらそうにふんぞりかえる。
「…ちょ、ちょっとだけよ。ちょっとだけ。シロがあんまり女の子に興味がなさそうだから、幼馴染として心配になって」
「へえ。心配してくれたんだ?」
「ほんっっのちょっとだけよ!!」
もう、どうしちゃったの、シロ。
私が、変なこと訊いたから?
…だから、そんな、目をするの?
「…俺に彼女ができたとして、美愛子はどうするの?」
…そ、れは。
言葉に詰まる私とは逆に、シロはその整った顔に余裕すら浮かべている。
…シロに、彼女ができたら?
そんなの、嫌よ。
私がその『彼女』である場合以外、認めないわ。認めたく、ないわ。



