「……ねーえ、シロ?」
完食…はさすがにしていないけど、食べたカップケーキのゴミを片付けながら、私は夕飯の準備を始めるシロに話しかけた。
「ん?」
「…どうして、彼女作らないの?」
蛇口から流れていた水が、きゅっという音ともに止まる。
「…珍しいね。美愛子がそういうの、訊いてくるの」
シロはタオルで手を拭くと、感情の読み取れない笑みを浮かべながら、こちらへ歩いてきた。
…そして私の隣に、座る。
「…別に。ちょっと、気になっただけよ」
いつもなら感じないのに、なぜかドキドキしてくる。
…こういう話題をすると、私だけ落ち着かなくなっちゃうのよね。
シロはこんなに、いつも通りなのに。
私はなんだか恥ずかしくなって、ソファから立ち上がった。
「…コーヒー、飲んで良い?」
「どうぞ」
キッチンへと向かう。
その途中で、私は足を止めた。
「……シロ、は…」
心臓が、やっぱりうるさい。
私はそっと後ろを振り返りながら、震えそうになる声を精一杯出した。



