「………えっと、最初、誰歌う?」
ミアちゃんマジごめんと今にも叫びそうな顔をした花凛ちゃんが、助け舟のように言ってくれた。
澤野くんはニコニコして、「誰もいねーの?じゃあ俺歌う〜」と言い出す。
ひとまず解放された私は、ため息でもつきたくなる勢いで脱力した。
…こんなに真っ向から、『君のこと狙ってます』って言われるのもはじめてよ。
やっぱりナルシストだからできる技ね。
私は一応清純キャラで通ってるから、そんな真似できないけど。
それからしばらく、私達は歌ったりしゃべったりして、時間を過ごした。
まぁ私は、ほとんど澤野くんの話を聞いているだけだったけれど。
シロは、男子と喋ったり女子と喋ったり。
けれど、私と会話することはなかった。
そんなふうにして、場が盛り上がってきた六時頃。
ひとりの男子が「そーいえば」と言った。
「文化祭の劇でさぁ、ミアちゃん、白雪姫するって聞いたんだけど」
花凛ちゃんとシロ以外のみんなが、「ええっ」と驚いた顔をする。
花凛ちゃんは同じクラスだし、シロにはもう言ってあるし。
目をキラキラさせた瑠奈ちゃんが、「わぁ、似合ーう!」と言ってくれた。
「白雪姫っぽーい」
「ほんと?」
「うんうん。肌白いし黒髪綺麗だし。絶対カワイイ」
嬉しいわね、似合うって言ってもらえたわ。



