時々学校の友達と遊んで帰ることもあるみたいだけれど、基本的に家でゆっくりするのが好きみたい。
だから昨日のように突然押しかけても、家にいることが多いのだ。
私は昨日もきているものだから、なんだか気まずい。
二日連続で来ることなんて、小学生のとき以来だわ。
にこやかに笑うりさの一歩後ろで、私は隠れるようにして立っていた。
「....りさが来るの、久しぶりだね。どしたの?」
「んー、まあ、ちょっとね」
どうやら今日は、お菓子を作っていたらしい。
リビングに入ると、甘い匂いがした。
オーブンのなかで、カップケーキたちがくるくる回っている。
「…シ、シロ。あれ、何。何作ってるの」
なんて美味しそうな匂いなの。
ソファに座る前に耐え切れなくなって、思わず訊いてしまった。
シロは笑って「プレーンとチョコ混ぜたマーブルだよ。あと十分くらいで焼き上がる」と言った。
「…誰かに、あげるの?」
カップケーキとか、ひとつひとつに分かれたものを作るとき、シロは学校の友達にあげている。
相手は、もちろん仲の良い男子たち。
恐らくこの男は、その辺の女子より女子力が高い。



