もはや役目を奪われてしまった怪獣が、シロとともに可哀想な目で私を見てきた。
「…姫宮、お前…そうしてると、まるで小学生みたいだな」
「ハァァアー!?」
悪の女王並の形相で叫んだところで、ハッとする。
ダメだわ。ここでムキになれば、それこそ小学生じゃないの。
私は涼しげな顔でフッと笑うと、長い黒髪をふわりとかきあげた。
「まぁそれだけ、若く見えるってことね」
「いや。美愛子は幼いんだよ」
「シロおおお!!」
そこは肯定しなさいよぉー!
「ぶっ」
シロといつも通りの会話を繰り広げていると、横で吹き出す音がした。
驚いてそちらを見ると、竜崎くんが慌てて口元を抑える。
けれど肩が震えていて、どう見ても笑いを堪えてるようにしか。
え?竜崎くんて、笑うの?
「りゅ…竜崎くん?何笑ってるの?」
「いや…すまん。姫宮、お前面白いな」
思いの外爽やかな笑顔は、普段の仏頂面な彼からは想像できない。
こんな風に笑えるのね、このひと。



