「ねーねー!」
とりあえず言われた通り、正人くんを見ていることにする。
弟くんは砂場に座り込んで、無邪気な笑顔で私を見上げた。
「おねーさん、にーちゃんのカノジョ?」
「…違うわよ」
そんな親密な仲になった覚えはないわ。言うなら、猛獣とお姫様。脅した人と脅された人。
私はなんだか気が抜けて、ハァ、とため息をついた。
その場に座って、空を見上げる。
私、何してるのかしら。
まぁ、リンチとかには遭わなかったから、よかったけれど。
なんで脅されてまで、子守なんてしてるの?
「ねーねー、なまえは?」
「…ミア。ミアちゃんと呼びなさい」
「ミアな。ミア!」
いきなり呼び捨てとは、なかなかいい度胸してるじゃない。
私はもう一度ため息をついて、また遊び始めた正人くんを眺めた。
「…美愛子?」
知ってる声が名前を呼んで、後ろへ振り返る。
『美愛子』と呼ぶのだから当然といえば当然なのだけれど、そこにいたのはシロで。



