「……ごめんなさい。その…心の準備が、ね?必要だったのよ」
「はぁ?なんの準備だよ。美愛子、なんか勘違いしてるでしょ。昨日こと」
うう、やっぱり怒ってる。
てゆーか、勘違いって…?
戸惑う私を、シロはじっと見つめてくる。
昼休みの終わりのチャイムが、扉の向こうに響き渡った。
「えっと…」
「まず、俺は柳田さんと付き合ってない。家に上げたのも、別に他意があってしたことじゃないから」
私が尋ねてもいない疑問を、シロは気づいていたみたいだ。
シロと柳田さんの間に何もないことは、既に柳田さんから聞いてる。
けれどなんだか、こうも丁寧に教えられると、恥ずかしくなってくるわ。
私がシロのことが好きだって、バレバレじゃないの。
私は目を合わせづらくなって、うつむく。
赤い顔を隠すように、「うん」と返事をした。
「わかったから、その…シロ。もう少し離れて」
シロは私の頭の上で、壁に手をついて私を見下ろしている。
彼との距離はわずか十五センチほどで、いくら幼馴染とはいえ、心臓が持たない。



