「………どうしよ……」
靴を脱いで、ロッカーに入れる。
ざわざわと騒がしい靴箱は、人生における一大事を抱えた私の心情なんてお構いなしに、いつも通りの風景を作り出している。
きゃっきゃと仲良く登校してくるカップルを見かけて、天使ミアちゃんあるまじき嫉妬の炎で、心の中が燃え上がった。
…朝っぱらから、いちゃいちゃしてんじゃないわよ。
いいわねえ、幸せそうで!
私だってシロときゃっきゃウフフで登校したい!
教室の前でバイバイして、その後ろ姿を見つめながらニヤニヤしたい!!
ああもう、腹が立つ!!
燃え上がった嫉妬の炎は、私に幸福な妄想まで燃え上がらせてきた。
なんなのよ、なんだっていうのよ。
そりゃ、早まった私が悪いけれど!
鬱々とした気分を持て余しながら、上履きに足をいれる。
そこで、聞き覚えのある声が私を呼んだ。
「あの、姫宮さん」
私は反射的に柔らかな表情へと変え、そちらへ振り向く。
靴箱のそばに、柳田さんが気まずそうに立っていた。



