「美愛子」
「ば、バイバイ」
早足で、リビングを出る。
彼は最後まで私を引きとめようとしていたけど、家を出てからは追いかけて来なかった。
自分の家の扉を勢い良く開け、中へ入る。
そのまま玄関扉にもたれかかって、ずるずると崩れ落ちた。
頬の熱が、冷めない。
……どうし、よう。
私、明日ちゃんと笑えるかしら。
*
翌日、月曜日。
ずーんとしながら登校し、校内へ入る。
結局昨日は眠れなかった…なんてことは、なかったのだけれど。
だって、私だもの。
外見以外の長所といえば、単純かつ明快な性格をしていることくらいな、私よ?
昨晩は、たっぷり七時間寝ちゃったわよ。お目覚め爽快よ。
けれど、憂鬱な気分は抜けなかった。
また今日も、柳田さんと仲良さげに話すシロの姿を見なきゃいけないのかしら。
意気地なしの私は、そんな彼に話しかけることもできない。
昨日、あんなことを口走ってしまった手前、もうなかったことにはできないし。
……もしこれでフラれて、シロと今までのように話せなくなったら、どうしよう。
昨日はその可能性を考えられるほど、心に余裕がなかった。
我ながら、早まったわ。
本当、馬鹿。



