大事なものが、何よりも大事な人が、気づいたら誰かに奪られていたことに、あとになって気づくの。
…悔しいなんて、ものじゃない。
ひらすらにショックで、ぽっかりと心に穴が空いたような、そんな感覚がする。
軽い絶望感。
頭の中に、考えたくない想像が浮かんだ。
大好きな大好きな、シロのホットケーキ。
それを、本当に素直な、まっしろな笑顔で頬張る柳田さんと、その横で笑うシロ。
…息が、詰まった。
ぎゅう、とキュロットの裾をつかんで、俯く。
「…美愛子…あのさ」
「やだ…」
「え?」
こんなこと、言っちゃだめなのに。
シロのことを何にも考えてない、ただのわがまま。
ちっとも可愛くない、まっくろな嫉妬だ。
「…美愛子?」
だけど。
もう、どうしようもない。
見てるだけなんて、無理。
可愛くなくったって、意地汚くったって。



