「わかんないとこあったら、言って」
教科書に目を落としながらそう言うシロに、私は「はーい」と小さく返事をした。
………チク、タク、チク、タク。
私たちの間に、沈黙が下りる。
時計の秒針の音だけが、響いている。静かだわ。
私としてはおしゃべりしながら、でもいいのだけれど、というかそちらのほうが楽しいのだけれど。
いつかのテスト勉強のときに、私はこの沈黙に耐えられなくなって、シロに怒られちゃったのよね。
だから、彼とのテスト勉強中は静か。
いくら私でも、さすがに慣れたわ。
それから一時間ほど、シロに質問したりして、真面目に勉強していた。
集中が切れてきて、ふと顔を上げる。
シロがまだシャーペンを動かしている中、なんとなく周りを見回した。
そして、そばにあるソファの上に目を向けて、私は見つけてしまう。
可愛らしい花柄の、パスケース。
「……シロ」
「ん?」
私は呆然としながら、それを見つめた。



