……シロは、いつも通り。
昨日のことも、結局深くは訊いてこないし。いつも通りだわ。
最近の出来事を考えると、なんだかシロの家に来ることも恥ずかしい。
だって、あれ以来よ?
『美愛子に彼氏ができたら、ちょっと困るかな』発言以来なのよ?
思い出すだけで、なんかにやけてくる。
ダメだわ、浮かれてはいけない。
嬉しくなって期待したら、『学校で話しかけるな』なんて言われて、突き落とされるんだから。
油断してはダメよ、美愛子。
シロの考えてることはやっぱりわかんないけれど、これからはあまり期待しないようにしなきゃ。
リビングに置かれたテーブルのそばに座って、持ってきた教科書類を置く。
やがてシロが二階から降りてきて、リビングの扉が開けられた。
午前九時。
こんな時間からシロの家にいるなんて滅多にないことだから、なんだか気まずい。
シロはいつも通りに、コーヒーを淹れて持ってきてくれた。
「ありがとう」
「ん」
コーヒーを飲みながら、教科書をパラパラとめくるその姿。
…カッコイイ。絵になるわ。最高。
黒縁メガネが、相変わらずナイスね。
そんな邪な思いを視線に隠して、シロを盗み見る。



