私にそんなことできるわけない。






「ちょっと挨拶して、通り過ぎれば大丈夫.....だよね?」







ガチャ






うぅ......ま、まだいる.....






携帯をいじっている輝君はまだ私には気付いていないみたいだった。








ワックスで無造作にセットされた髪の毛を空いている手の指先でじりじりといじっていた。







「お、菜々ちゃん。もしかして、ずっとそこにいた?」








「え、あ...ううん」







今一瞬輝君に見とれてた。







「今出てきたところだよ」








「そっか。どっか行くの?」







輝君は携帯をしまい、ポケットから煙草を出した。








「ちょっとおつかいを.......」