「どうしたの?お兄さん。
やっぱり寒いんでしょ?」






「は、離れて・・。」





「お兄さん!?」





彼の声は今にも消え入りそうだった。
具合でも悪いのだろうか。

薄っすら見える影では、膝をつき、頭を抱えているようだった。


私が近づこうと1歩踏み出すと


「は、離れろ!!!!」




さっきの消え入りそうな声とは打って変わって、お兄さんは叫んだ。






私はその大声にびっくりし一瞬動きを止めたが、彼が心配で駆け寄った。



「うぅ・・・。」



お兄さんは未だ唸っている。





「お兄さん、大丈夫?」




私は伺うように背に手をあてた。




「ごめんね。」




お兄さんはそう言うと私を強く抱きしめた。