その日、私は先生に呼び出され遅くまで学校に残っていた。




すると、人気のない廊下でアベルの姿を遠くに見かけた。


私は心が高鳴って彼を追いかけた。



彼はどんどん、どんどん上へ奥へ行ってしまう。


ついに、屋上に通じる階段に向かってしまった。




私は走って追いかけるが、なかなか追いつかない。


屋上への階段に来た時には、彼の姿は消えていた。




屋上に行ったのね、歩くの早いなぁ。


そんなことを考えながら階段を登り、
屋上のドアを開けた。




「いつココに話すんだ?」



そんな言葉が耳に飛び込んできた。


私はそっとドアを閉めた。


どうもアベルは誰かとお話しているみたいだった。



「どうしようか、でもどこからどこまで話したらいいものか。」



アベルの思案する声が聞こえた。



彼らはこの出入り口の裏側にいるらしい。




「全部話したって大丈夫そうだけど。
だって、ココって気持ちがダダ漏れだしね。」


このセクシーな声はアランだ。



「俺はココが傷つかねぇように、気持ちの話だけでいいと思いますがねぇ。」



この荒々しい口調はライオスた。



「とにかく、緑川夫妻が亡くなっていることは
伏せるべきだと思います。
私たちのことについても、様子見すべきだと、私は思いますわ。」




この可愛い声はアナだ。


でもアナは一体何の話をしているの?


私の両親の話?



でも2人とも生きてる。


どういうこと?




「そろそろ、スカイの"委員会"とやらが終わるぞ。
とにかく帰ろうぜ。」




アランがそう促し、全員が立ち上がる。


彼らが近づいてくるが、私の足は根が生えたように動かなかった。





一体どういうこと?



何故こんなに胸騒ぎがするの?



頭がイタイ


この涙は一体何なのだろう。