一人で散歩をしようと両親の元を離れ 随分遠くまで来てしまった。 どれだけ叫んでも声は届かない。 薄暗さの上に冬独特の凍えるような北風。 私の不安を掻き立てる。 幼心に、もう二度と別荘に来るものかと思った。 目に涙が浮かび、足がもつれて座り込んでしまいたかった。 しかし、今は別荘へ帰る方が先決だと思い 足を進める。 もう自分がどっちから来たのか分からなかった。