「見ちゃった、んだ――か、おる君がッッ須藤さんとキ、スしてるとこ――ッッ」
頑張って嫌な数学の補習を受けて、その帰りにあんな嫌な光景を見るなんて――。
ついてないにも程があるよ。
「その日以来――薫君ッッとは、会ってないッッ。怖くて会えない――ッッ」
「本当にそれでいいの?須藤さんが一方的に言い寄ってるだけかもじゃん」
首をふると一緒に涙が零れ落ちた。
あの時の薫君は別に嫌そうじゃなかった。
それに別人みたいな雰囲気で知らない人みたいだった。
その時の薫君が本来の姿かもしれないと思う時がある。
だけどもしそうなら、今まで一緒に過ごした短くも幸せな時間を全て否定する事になる。
「二人の世界だったッッ――邪魔できないくらい――」
思い返せばいつも自分の話ばっかりで、薫君の事何も知らない。
連絡先だって知らない。
知ってる事と言えば、ピアノの先生をしているお母さんの影響で薫君も驚く程ピアノが上手だという事。
ご両親は離婚していてお父さんに引き取られたという事だけだ。
彼の色んな出来事に対して伴う感情は何一つ分からない。
そっか――薫君の心に触れた事、ないんだ――私――。
頑張って嫌な数学の補習を受けて、その帰りにあんな嫌な光景を見るなんて――。
ついてないにも程があるよ。
「その日以来――薫君ッッとは、会ってないッッ。怖くて会えない――ッッ」
「本当にそれでいいの?須藤さんが一方的に言い寄ってるだけかもじゃん」
首をふると一緒に涙が零れ落ちた。
あの時の薫君は別に嫌そうじゃなかった。
それに別人みたいな雰囲気で知らない人みたいだった。
その時の薫君が本来の姿かもしれないと思う時がある。
だけどもしそうなら、今まで一緒に過ごした短くも幸せな時間を全て否定する事になる。
「二人の世界だったッッ――邪魔できないくらい――」
思い返せばいつも自分の話ばっかりで、薫君の事何も知らない。
連絡先だって知らない。
知ってる事と言えば、ピアノの先生をしているお母さんの影響で薫君も驚く程ピアノが上手だという事。
ご両親は離婚していてお父さんに引き取られたという事だけだ。
彼の色んな出来事に対して伴う感情は何一つ分からない。
そっか――薫君の心に触れた事、ないんだ――私――。


