涙が流れてしまわないように、数回深呼吸をした。
「薫君って言うのは隣のクラスの泉堂君、だよ――」
「あの仏頂面の!?」
「――うん」
仏頂面なんかじゃない。
周りがそうさせてるだけで本当は凄く柔らかい人。
そんな彼を好きになった。
「失恋したって事は告ったの!?」
私は首を横にふった。
今すぐ告白する度胸はなかったけど、いつか想いを伝えられればいいなって思ってた。
たとえフラれたとしても、ちゃんと自分の口で伝えていれば後悔はしなかったと思う。
それなのに――なんて情けない失恋の仕方だろう。
「乃愛――」
名前を呼ばれ顔を上げると、優樹菜は目を潤ませ不安気な顔をして私を見ていた。
「泣くほど辛い事を何で黙ってたのよ――馬鹿乃愛――」
頬に手を当てると濡れていた。
あんなに泣いたのに、また同じ想いを胸に抱いて泣いている。
いつまであの場面、あの時の感情に襲われ涙を流すんだろう。
そして涙が止まった頃にはまた胸を締め付けるような苦しさが訪れるんだろう。
「薫君って言うのは隣のクラスの泉堂君、だよ――」
「あの仏頂面の!?」
「――うん」
仏頂面なんかじゃない。
周りがそうさせてるだけで本当は凄く柔らかい人。
そんな彼を好きになった。
「失恋したって事は告ったの!?」
私は首を横にふった。
今すぐ告白する度胸はなかったけど、いつか想いを伝えられればいいなって思ってた。
たとえフラれたとしても、ちゃんと自分の口で伝えていれば後悔はしなかったと思う。
それなのに――なんて情けない失恋の仕方だろう。
「乃愛――」
名前を呼ばれ顔を上げると、優樹菜は目を潤ませ不安気な顔をして私を見ていた。
「泣くほど辛い事を何で黙ってたのよ――馬鹿乃愛――」
頬に手を当てると濡れていた。
あんなに泣いたのに、また同じ想いを胸に抱いて泣いている。
いつまであの場面、あの時の感情に襲われ涙を流すんだろう。
そして涙が止まった頃にはまた胸を締め付けるような苦しさが訪れるんだろう。


