こんなに優しくて格好いい人に告白されて嫌な人なんてきっといない。


だけど私――。


彼の顔が頭を過った時、聞き慣れた曲が聴こえてきた。


音のする方へ顔を向けると、音楽室の窓が開いていた。


泉堂君?


いつもは窓開けないのにどうして――。


ッッ!?


まさか見られてた!?



『乃愛ちゃん?』

「す、すみませんッッ!!急用を思いだしちゃったので失礼しますッッ!!」



食べ途中のお弁当を急いでしまい、私は猛ダッシュで第二音楽室へ向かった。


たまたま窓が開いてるだけで見られてないかもしれない。


見られていたとしても泉堂君は別に何とも思ってないだろう。


でも誤解だけはされたくなかった。


好きだなんて告白する勇気はない。


だけど私の気持ちは何処にも向いていないってちゃんと伝えたかった。


泉堂君に対しても何とも思ってないと思われたとしても、他の男に気があると思われるよりは数百倍も数千倍もマシだ。