お昼を知らせるチャイムが鳴り、私は鞄を持ってウキウキした気分を悟られない様に静かに立ち上がった。



「今日は何処で食べるの？」

「分かんない。閃いたところで食べる」

「今日も行き当たりばったりって事ね」



呆れた視線を向けられようが私は気にしないもんね。


泉堂君が待っててくれるから。


――待っててくれるはちょっと違うか。


私が彼の領域に勝手にズカズカ入り込んでるだけだもんね。



『乃愛ちゃんっ』



その声に女子の視線は一気に廊下に集まり、私は彼の姿を見た瞬間卒倒してしまいそうだった。


何で！？


何で伊集院先輩がいるわけ！？


嫌な視線を感じ、隣に目を向けるとにやけ顔の優樹菜と目が合った。


私の様子などお構いなしに教室に入ってきてしまった伊集院先輩に声をかけた。



「どうしたんですか？」

『良かったらお昼一緒にどうかなって思って』



――はい？


何で？


というか、女子の視線が痛いからこういう事するの止めてほしい。