徹先輩に土屋先輩の家の住所を教えて貰った私は、お菓子を持って向かっていた。


昨日見た天使の後ろ姿が忘れられない。


天使の話をしたところで誰も信じてくれないだろう。


優樹菜にすら話していない。


泉堂君はどうだろう。


信じてくれるかな――。


馬鹿にはしないだろうけど信じもしなさそう。


土屋と書かれた表札を見つけ、私はその家の前で立ち止まった。


クリーム色の少し可愛らしい造りの一軒家。


インターホンを押すと、優しそうな女性の声が聞こえてきた。



「あの、私竜ヶ崎と言う者ですが、えっと、土屋せ――護(マモル)さんのお見舞いで伺ったんですが――」

「ちょっと待って下さいね」



玄関のドアの前で待っていると、パタパタという足音が聞こえてきた。


足音が止まるとゆっくりドアが開き、中から清楚な女性が現れた。