数日経って感じた違和感の正体に気づき始めていた。


乃愛が生きてる。


それだけでいいじゃねぇか。


何度そう自分に言い聞かせたか分からない。


あの時ガブリエルが言っていた言葉。


その言葉の意味が今なら分かる。



“「何があっても、ノアを愛し続ける?」”



こういう事かよ。


乃愛は生きてる。


普通に生活してる。


だけどないんだ。


俺と過ごした頃の記憶がーー。


あの時はルシファーとガブリエルのやり取りをただ見ていた。


まさか自分までそんな事になるとは思わずに。


ガブリエルも乃愛と一緒でルシファーの記憶を失った。


ルシファーは俺と一緒でガブリエルへの愛する気持ちを持ったまま生きてる。


なぁ、ルシファー。


お前もこんなに苦しい想いして生きてんのかよ?


なんか、授業受ける気になんねぇし、四時間目ふけるか。


俺は鞄を肩から掛け教室を出た。


喉乾いたから売店でも行くか。


静かな廊下を先生に見つからない様静かに歩いた。


見つかると面倒くせぇからな。