「良かったぁーあったぁぁぁ」



机の中に入れっぱなしになっていた携帯をスカートのポケットに入れ教室を出ると、そこには少し息を切らした土屋先輩が立っていた。


何でいるの!?



『意外と走るの速いんだね』

「いや、えっと――何でいるんですか?」

『ごめん、一緒に帰りたかったから』



それで追いかけてきたの?


靴箱で待っててくれれば良かったのに。


てか一緒に帰るの?



『乃愛ちゃん』

「はい」



そう言って顔を上げるとすぐ目の前に土屋先輩がいて驚いた。


んな、な、何!?


近い、んですけ――ど――――。


あの、これって――抱きしめられてます?


突然の出来事に頭も体も固まってしまい、私は動くことができなかった。