「失礼しまぁす」



職員室に入ると、疎らにしか先生たちは席に居なかった。


数学の先生いないし!!


まぁいいや。


私はプリントを置いて近くにいた先生に挨拶をして職員室を後にした。



「土屋先輩、有難うございました」

『気にしないで、無事に終わって良かったよ』



嫌な顔一つせず最後まで根気よく教えてくれた。


教えかたも上手で、数学大嫌いな私の頭にもすんなりと言葉や式が入ってきた。


先生になればいいのにと思った。


スカートのポケットに手を入れ携帯を取ろうとしたら、そこには何も入ってなかった。


――あれ?


立ち止まり、鞄の中をあさるが見付からない。


まさか――。



『どうしたの?』

「すみません、教室に携帯忘れちゃったみたいなんで取りに行ってきます。土屋先輩は先に帰ってて下さい。今日は本当にありがとうございました」



私は土屋先輩に頭を下げ、教室まで全速力で走った。


さっさと見付けて、暗くなり始めていて不気味になりつつある学校から早く出たかった。