今の私にそんな事が出来るんだろうか。


薫君を助けるとあれ程強く誓ったのに、今私の胸は揺れていた。



『ガブリエルの核を分離させたいのなら私が手をかそう』

「あなたが?あなたの手を借りなくても分離させる方法なら知ってます」



神様はニコッと微笑み腰に手を当て私の顔を真っ直ぐ捉えた。



『実を食べて分離させたところで、お前はガブリエルの核を奴のところまでは運べぬ』

「どういう事ですか?」

『ブレスレットを見ろ』



言われて慌てて腕につけたブレスレットを間近で見た。


私は息を飲んだ。



『ラグエルからそのブレスレットの説明は受けているな?』

「は、い」

『お前の魂はほぼ核に取り込まれている。今の状態で分離してもお前はそう長くは生きていられない』



ブレスレットの石はほぼ青に染まっていた。


赤い部分は信じられないくらい小さくなっている。



『私なら核と魂を元通りに分離させる事ができる』

「私を助けてくれるって言うんですか?」

『そういう事になるな』

「薫君はどうなるんですか?」

『それは私の知った事ではない。己の望みを叶えるために悪魔と契約し、文字通り魂を取られたのだからな』