「私はどうなるの?知ってるんでしょう?」

『ーーーー』



ラグエルさんはガブリエルの横顔を見つめたまま何も答えなかった。



「遠慮せずに言ってちょうだい。逃げも隠れもしないからーー」

『ーー核を取り除きます。その核をどうするかは分かりませんが、器は恐らく水の神殿に保管されるでしょう』



暫しの沈黙の後、ガブリエルはラグエルさんに顔を向けた。


そしてラグエルさんの目を捉え、優しく微笑んだ。



「ありがとう」

『貴女にお礼を言われる理由がございません』

「私の核がどうなるのか本当は知ってるくせに、言わなかったわ。私の為を思っての事でしょう?」



ガブリエルの言葉を聞いて、ラグエルさんは視線を落とした。



「私の核は人間の体に組み込まれるーーそうでしょう?そして私はその人間が死を迎えたと同時に消滅する」

『それは数ある可能性の内の一つにすぎません』

「神に伝えてちょうだい。私を生み出してくれた事心から感謝しております、とーー」

『ーー分かりました』



ラグエルさんはガブリエルに背を向け、一歩足を踏み出した。



「ラグエル、今までありがとう。さようならーー」



ガブリエルの声は聞こえている筈なのに、ラグエルさんは足を止める事も振り返る事もしなかった。