大好きな人を失ったガブリエル。


薫君の事を忠告してくれた時、きっと言い辛かったよね。


だって、大好きな人を失う辛さを知ってるから。


本当に私の為を思って言ってくれたんだね。


それなのに私ーーッッ。


あんなに酷い態度取ってーー。


今更泣いたってしょうがないのに涙が止まらず溢れてくる。



『今からでも遅くはありません。ルシファーの事は忘れて今まで通りになさい』

「ルシフェルよ」

『それは天界での名です。堕天した彼は天使の称号を剥奪され、今はルシファーと言う名ーー」

「彼の居ないこの場所で今まで通りなどできる訳がないでしょう」



ガブリエルはラグエルさんの言葉を遮った。


抑揚のない小さく冷静な声が薄暗い空間に広がった。



「何故、神は彼を見放してしまったの?あんなイカズチを落とさずとも、他にも手段はあった筈なのにーー」



あの光、神様がやったの?


あんな惨い仕打ちをーー。



『彼は反乱軍の頭でした。彼をどうにかしなければ、反乱を起こした者たちを鎮圧する事は難しい状況でした。やり方はどうであれ、私たちは本当の理由など知らずともよい事です。神のご意志が私たち天使の意識なのですから』



ガブリエルが眉を寄せ小さく笑った。



「相変わらずの優等生ぶりね。でも、それが貴方のいいところだし、羨ましくも思うわ」