驚きのあまり「ミカエルさんに引き渡さないんですか?」と思わず自ら口にしてしまった。



『ノア、ちゃんと食べてるか?』

「はい」

『栄養のあるものをしっかり食べてれば体調も直ぐに良くなる』

「それは人間の場合ですわ、ラファエル様」



可笑しそうにクスクス笑うソフィアさん。


だけど彼女の言葉に私はドキリとした。



『色んな方法を試してみるのも悪くはないだろう?』

「そうですわね」



私の問い掛けにラファエル様は『そうするのが一番いいのかもしれない』と眉尻を下げながら言った。


だけど直ぐに柔らかい笑顔を見せこう言った。


『まさか自分が理性よりも感情を優先する日がやってくるとは夢にも思っていなかった』と。


結果私はこうしてまた穏やかな時間を過ごせている。


でも、私がここにいる事がバレるのも時間の問題かもしれない。


そうなればソフィアさんやラファエル様に迷惑をかけてしまう。


こんなによくしてくれている二人にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。


早い内にここを出ていくべきかもしれない。