診てはもらったが、結局原因は分からず終い。


でも私が人間だという事を知っているラファエル様からすれば、異常な事とも思っていないだろう。


人間は心の病から体の病に発展する事だって珍しくない。


疲れが溜まっていれば風邪をひいたり目眩を起こしたりする。


きっと私も知らず知らずに疲れているだけなのかもしれない。


ドアをノックする音がすると、ソフィアさんの顔がパァーッと明るくなった。



「まぁっ!いらっしゃいましたわっ」



ソフィアさんはエプロンで手を拭きながら、小走りで玄関へと駆けていった。


あんな事がなかったら純粋に微笑ましい気持ちになっていたと思う。


だけど、あの日抱きしめられた事をなかった事にする事はできない。


胸の中は複雑な思いでいっぱいだった。



『具合はどうだ?』

「お陰さまで元気です」

『そうか、それはよかった』



ラファエル様はソフィアさんにお掛け下さいと椅子に座るよう促され、私の前に腰を下ろした。