ラファエル様の手が伸びてきた。


温かくてゴツゴツした指が頬に触れた。


ラファエル様は撫でる様にその指を横に滑らせた。



『俺が怖いか?』



私は首を横に振った。


怖い訳がない。


凄く優しくてこんなに温かい人なのに――。



『そうか――』



どうしてそんなに柔らかい笑みを見せるの?


ホッとした様に笑わないで――。


そういう顔をされる度に罪悪感に胸が押し潰されそうになる。



『幾つか質問をしてもいいか?』

「――――ッッ」



私の動揺が伝わったのか、可笑しそうに口元を緩めるラファエル様。


私は思わず目を反らせてしまった。



『答えられるところだけでいい。な?』



上手く言葉が出てこなかった為、私はゆっくり顎を引き頷いた。


椅子を引く音が部屋に響き、さっきよりも少しだけ近くにラファエル様の気配を感じた。


ずっとこのままじゃ駄目だ。


覚悟を決めないと――。


この場を乗りきらないと私の願いはここで終わってしまいそうな気がする――。


私は少しの間目を閉じ、心を落ち着かせると顔を上げた。