森の中の小さな小屋。


ラファエル様と私以外誰もいない。


葉が揺れる音。


鳥の囀り。


賑やかな町中とは違う静かで穏やかな場所。



『まぁ掛けてくれ』

「はい――」



ラファエル様に促されるまま木の椅子に腰掛けた。


テーブルを挟んで目の前にはラファエル様が座っている。


顔が見られない――。



『まどろっこしいのは嫌いなんだ』

「――――」

『ノア、お前は一体何者なんだ?』

「――――」



尋問をする様な口調じゃなく、とても柔らかい口調だった。


それでも私は口を開く事ができなかった。


ミカエルさんから話を聞いている訳じゃないんだろうか?


それとも私を試してるの?



『ノアが話をしたくないならそれでもいいと思った。だが、そうも言ってられなくなったんだ。ミカエルが血眼になって探している少女がいる』

「――――」

『ミカエルが探し求めている少女はお前なんじゃないのか?ノア――』



全身から嫌な汗が吹き出ている様な気がする。


握りしめた手は膝の上でガタガタと小刻みに震えている。