「天使の町の図書館は天界にある町の中で一番大きいんですのよ」

「そうなんですか?」

「天界の歴史や地理についての本やあらゆる物に関する図鑑、とにかく本の種類も豊富ですの」



身ぶり手振りで楽しそうに話をしてくれるソフィアさん。


そんな彼女に私は笑って「楽しみです」と言う以外何て言えばいいのか思い付かなかった。



「何だか今日は町中落ち着かない様子ですわね」



そう言われてみれば、女性は鏡を見ながら髪の毛を整えていたり、小声で話ながらはしゃいだりしている。


男性は緊張している人、目を輝かせている人、落ち着きのない人、色んな人がいる。


皆飛ぶなり小走りなりで、何処かに向かっている様だ。



「今日町で何かございましたの?」



ソフィアさんが近くで集まってお喋りしていた女の子たちに声を掛けた。



「珍しくミカエル様がいらっしゃってるのよっ!!」



女の子たちの言葉を聞いて私は身を強張らせた。


ミカエルさん、が――?


頭の中で煩い警報が鳴り響いている。


でもどんなに考えを張り巡らせてもいい案が見付からない。


どうしよう――ッッ。