「ちなみに――」そう言ってソフィアさんが指差した方に目を向けた。



「水に囲まれている真っ白な神殿がございますでしょう?あの神殿は水の神殿と言って、ラファエル様と同じ四大エレメントの内のお一人、ガブリエル様が守護されておりますの」

「水の神殿――ガブリエル、さま――」

「ガブリエル様は水を司るお方ですの。ですがもう何百年も眠っていらっしゃるのよ」



心臓が煩く騒いでいる。


私は無意識のうちに胸元をギュッと握りしめていた。



「どうして――眠ってるんですか?」



自分の声が震えていないか心配だった。


不自然に見えていないか心配だった。



「とても重要な任務を命じられていたガブリエル様は、その任務でお力を殆ど使い果たしてしまったそうですの。失ったお力を取り戻す為、水の神殿で深い眠りについていらっしゃるとお伺いしておりますわ」



重要な任務?


本当に?


天界の為に仕事をしたのに何で神様はガブリエルを助けてあげないの?


何で私の中にガブリエルの核があるの?



「私たち天使は皆ガブリエル様のお目覚めを心よりお待ちしておりますの。ノアさんもガブリエル様にお会いすれば皆の気持ちがお分かりになりますわ。素晴らしくお美しく、強く素敵なお方ですから」



ソフィアさんの言葉は今にも私の心臓を貫いてしまいそうな程、鋭い刃先の様だった。