ふと顔を上げると、キラキラしているものが目にはいった。


目を細めてじっくり見ると、凄く細い線で出来た大きな輪が泉の上に浮いていた。



「あの大きな輪は下界へ繋がるゲートですわ」

「えっ?あの輪を通れば下界へ行けるんですか?」

「えぇ、そうですわ。天界で定められた人間界のエリアコードというものがございます。エリアコードと訪ねたい人間の情報を把握していれば、正確な場所へたどり着く事も可能ですのよ」



きっとこれがラグエルさんが言っていた離脱ポイントだ。


大きな輪を目に焼き付ける様にジッと見詰めた。


この離脱ポイントが水の神殿から近い場所ならいいんだけど――。



「どうかなさいましたの?」

「い、いえっ――何でもないです!!」

「久しぶり外に出られてお疲れになられたでしょう?そろそろ帰りましょうか」

「はい」



私の存在を疑う事なく親切にしてくれるソフィアさん。


ごめんなさい――。


翼を広げ、優美に羽ばたくソフィアさんの背中に向かって静かにそう呟いた。