『天界については追々覚えていけばいい。どうしてそんなに怪我をしたのか教えてくれ』



私はゴクッと唾を飲み込んだ。


どうしよう――。


どうしよう、どうしよう、どうしようッッ!!


地獄に捨てられた挙げ句、リリスと鉢合わせてガブリエルに助けてもらったなんて言える訳がない。


握りしめた掌がどんどんしめっていく。


突然頭に重みを感じ、視線を上げた。


大きな手で私の頭を撫でてくれるラファエル様。



『言いたくないなら言わなくていい』

「えっ――?」

「そうですわ。私たち天使も人間と同じで言えない事の一つや二つありますもの」



天使も人間と同じ、か――。


そうだよね。


天使も悪魔も人間も、みんな心がある。


だからみんな必死なんだ。



「ありがとうございます」



良くしてくれる二人に少なからず罪悪感が芽生えたが、極力その事については考えない様努めた。